王者の風格、歴史を刻んだSPYAIR

treasure05x:

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2016年のTREASURE05X、大トリを飾るのは名古屋バンドのSPYAIRだ。昨年はmercury stageのトリを務め、バンド存続の危機を乗り越えた熱いステージが感動を呼んだ。2015年末には愛知と埼玉で二大アリーナツアーを成功させ勢いにのる彼らが、ついにmars stageのトリに立つ日が来たのだ。

暗転してスクリーンにバンド名が映し出されると、沸き上がるような歓声がmars stageを包み、IKE(ボーカル)の登場でそれはひときわ大きくなった。たくさんの飾りがついたマイクスタンドをIKEが掲げると、それはトロフィーのように見えた。苦しい時期もありながら歩みを止めなかった彼らに用意された、勲章のようなステージが始まる。

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「行こうぜトレジャー!」と腹から出すような声で叫び、7月にリリースした新曲「THIS IS HOW WE ROCK」を演奏すると、両手を広げてうんうん、と頷くIKE。これがSPYAIRだよ、準備はいい?と言わんばかりの表情だ。「ようこそ!SPYAIRのトレジャーへ!蒲郡、アーユーレディ!?遊ぼうぜ!」とギラギラした照明を背に受けながら煽ると、「現状ディストラクション 」でフィールドに火をつけ、「ROCKIN’ OUT」、「OVERLOAD」と続けざまに披露されるアッパーチューンにオーディエンスの熱狂は留まるところを知らない。MOMIKEN (ベース)と UZ(ギター/プログラミング)もお立ち台に立ちはだかってフィールドを煽る。今日一番の人が集まっただろうmars stageが、もみくちゃになって歌い、踊り、揺れる光景は圧巻だ。彼らがステージに降り立った瞬間に、TREASURE05Xの会場を飲み込んでしまった。フェスということを忘れそうなホーム感だ。

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MCではオーディエンスにどこから来たのか、豊明、大府、豊川・・・愛知の地名をたくさん出しながら質問しつつ「俺たち愛知県のバンドなんだ。名古屋って煽るバンドマンいるけど、ここは蒲郡だよ!」と話して地元ならではのトークにオーディエンスも嬉しそう。そのまま「愛知県、愛してるよ!」と始まった「イマジネーション」では〈オーオー〉のコールを全身で受け止め、満員のフィールドを愛おしそうに眺めるIKE。色んなバンドのタオルが宙を舞った「サムライハート (Some Like It Hot!!)」ではTOTALFATのShunとJose、そしてBLUE ENCOUNTの田邊 駿一が飛び出すサプライズ!ステージで肩を組みながら記念撮影するはしゃぎっぷりに、オーディエンスも大喜びだ。

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最後の曲を前に、「トレジャー、どうもありがとう。13年間、このイベントを根っこから支えてくれてる人がいて。あえて名前は出さないけど感謝しています」と、TREASURE05Xへの想いを述べるIKE。「地元・愛知の素敵なイベントでトリになれたこと、スタッフ、メンバーみんな感謝しています。トレジャーは、止まっちゃいけないんだよ。お前ら大好きなんだろ!?ずっとこのイベント守り続けていこうぜ」と続け、真摯な言葉に涙をにじませるオーディエンスの姿も。ラストはとっておきの曲だという「虹」を鳴らし、どこまでも届きそうな強さでIKEの歌声が突き抜けた。終盤はフィールドに降り、マイクを掲げながらオーディエンスの大合唱を受け止め、大歓声のなかmars stageを去った。アンコールで再び登場すると「この中にバンドマンいる?」と訊ね、「俺はずっとそっちから見てたんだ。夢見てたんだよ。俺らの後にもいいバンドいっぱい出てくると思うけど、お前らがいないと歌も演奏もできないからこれからもよろしく!」と話し、オーディエンスからはもちろんと言わんばかりの歓声が返ってきた。そして、本当に最後の最後「SINGING」をスタートさせ、金色のテープが舞う中迎えた大団円は、あまりにも幸せな光景だった。「また来年会いましょう!」と去る背中に、来年のステージが待ち遠しくなった。

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とにかく圧倒的、地元ファンからの愛を浴びながら王者のような風格で走り抜けたSPYAIR。たくさんのドラマが生まれてきたTREASURE05Xに新しい歴史が刻まれた大トリだった。

<SET LIST>
1. THIS IS HOW WE ROCK
2. 現状ディストラクション
3. ROCKIN’ OUT
4. OVERLOAD
5. イマジネーション
6. サムライハート (Some Like It Hot!!)
7. 虹
EN. SINGING

(text:青木美穂 photo:ヤオタケシ)

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